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> 特集 > エアレース_コラム11
【Telly's Collection】 ロッキードA12『エレクトラ・ジュニア』(1939)
子供のころ、仏壇の飾り物を磨くのがお盆間近の夏休みのお手伝いだった。我が家に不釣り合いなほど立派な仏壇にはしんちゅう製のろうそく立てのほか、さまざまな飾りが吊り下げられていた。それらをそうっとはずし、金属磨きでひとつずつピカピカに磨いてゆく。指を真っ黒にしながら、鋳物はいまひとつ光らないと知った。中学校ではブラスバンドに入った。市内球技大会などの出番の前には「ラッパ磨き」という時間がとられ、トロンボーンを、もったいなくて触れないほどピカピカに磨いた。クローム光沢、金属光沢がとても好きである。
リノに集まる機体には、鏡のように磨き込まれたものが多い。ロールズ・ロイスなどの協賛で行われる古い機体の復元コンテスト『ヘリテイジ・インビテーショナル』。このコンテストを通じて往年の名機を復元し、後世に残してゆこうというのが趣旨だ。ここにもひときわ輝く大きな機体があった。2006年リノでの優勝機(1936年以降の民間機)ロッキードA12『エレクトラ・ジュニア』(1939)だった。
もう一機のTWAのA12(1937)は自然なアルミ色で、史実に沿って、という意味では優勝機は磨きすぎの感もある。しかし数年間のレストア作業の最後の仕上げで、びかびかに磨きたい! という欲望が頭をもたげるのは理解できる。家族総出でバフがけ。途中で何度も「始めるんじゃなかった」などと思いつつ……。そんな想像をしてはニヤニヤしてしまう。ホンモノの飛行機まるごと磨き、というのを一度やってみたいものだ。その達成感は仏具やラッパの比ではないだろう。
テリー佐原
1952年 長野県松本市生まれ
1975年よりフリーランス
自動車、アウトドア、模型などの分野を中心に幅広く活動中
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