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> 特集 > エアレース_コラム10
【Telly's Collection】 Precious Metal
あるカーデザイナーに話を聞いた。彼はのちにウルトラライトプレーンを設計して圧倒的なシェアを得たが、クルマと飛行機のデザインの違いについて、こう話してくれたのだ。
「クルマ(市販車)はマーケティングに大きく左右される。ファッション性が重要だ。飛行機はその点、エンジニアリング最優先。すべてが論理的で、よけいなことにわずらわされなくてすむ」
安全によく飛ぶ、燃費がいい、といったファクターがあれば、スタイルは二の次。万一ほかのと似てしまっても、飛行機においては、それは大した問題ではないようである。
ウォーバードは、虚飾が入り込む余地などまったくない兵器だ。兵器は性能や生産性を突き詰めたら、みな同じような成り立ちになる。にもかかわらずウォーバードは、どれもが個性的な姿をしている。名機と言われる機体をしげしげと眺めていると「なぜ主翼や尾翼をこういう形にしたんだろう」という疑問がわく。なぜスピットファイアはあのかっこうで、マスタングはああなのか……。それはもう図面を引いた人の趣味、としか考えられない。「翼端はちょっと角張ったかっこうのほうがカッコいいな」といった感じだ。
あのレッドバロンを彷佛とさせる二重反転ペラのプレシャス・メタルも、そういった趣味性を感じる機体だ。ふつうのペラでもっと速い機体はざらにあるのに、わざわざこれにこだわっている。理論的に正しい? すべてが完璧ならこっちのが速い? それはわからないが「ともかくこれでやってみたいんだ」というメカニズムについての趣味性があればこそだろう。そういうのは大好きだ。
テリー佐原
1952年 長野県松本市生まれ
1975年よりフリーランス
自動車、アウトドア、模型などの分野を中心に幅広く活動中
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