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趣味side/アメカジの神髄に迫る

Vol.020/ ユニークな発想が生んだリーバイスの逸品【デニムタキシード物語】

今日、デニムは日本国内の小さなマイノリティーブランドからヨーロッパのビッグメゾンまでがリリースする、ワールドスタンダードなプロダクトになっています。しかし1940年代まではデニムは労働者のユニフォームとして用いられ、ファッションとして取り入れている人はほとんどいませんでした。
1950年代初頭になり、デニムが少しずつファッションとして取り入れられ始めました。そんなデニムがファッションとして受け入れられつつあった過渡期に、リーバイスからデニムのタキシードが生まれたのです。とはいえワークデニムとしてのイメージがまだまだ強かった時代に、なぜこのような洒落たアイテムが生まれたのでしょう。その希少なヴィンテージの裏に隠れたひとつの物語を紹介します。

アメリカを代表するミュージシャンでハリウッド俳優としても活躍した、エルビス・プレスリーやビートルズとも並ぶスーパースターがいます。その名もビング・クロスビー。彼はリーバイスからスポンサー契約を受けていたカントリーミュージシャンでした。
ある日、彼は上下ともにリーバイスを着用したスタイルで、ホテルにチェックインしようとしました。しかし、カジュアルすぎるというホテルマンからの指摘で宿泊が認められませんでした。このような仕打ちを受けたことにクロスビーは激怒し、即座にリーバイスのデニムのせいだと苦情を入れました。

Vol.020/ ユニークな発想が生んだリーバイスの逸品【デニムタキシード物語】

それを知ったリーバイスの社長は、早々に全米ホテル協会の会長にデニムでのホテル入店を了承する約束を取り付けました。そして、社長がそのことをクロスビーに報告する際に、皮肉を込めて贈ったのがこのデニムタキシードだったのです。

まずデニムでタキシードを作るというアイデアが秀逸ですが、それに付属するギャランティー(保証書)も非常にユニークなものでした。レザーパッチのギャランティーに書かれた英文を日本語に訳すと、「全米ホテルマンに告ぐ!! このジャケットはデニムジャケットではなくタキシードです。このジャケットを着用して来た者の宿泊を認める。全米ホテル協会会長より」というものでした。
作業着というイメージがまだまだ強かった時代にこのような許可を取れたことが、リーバイ・ストラウス社の企業としての大きさと信頼を物語っています。デニムタキシードがクロスビーへの皮肉の意味で生まれたとはいえ、ものづくりを楽しむ姿勢にもリーバイスの遊び心があふれているのです。

Vol.020/ ユニークな発想が生んだリーバイスの逸品【デニムタキシード物語】

またラペル(下衿)部分の、リーバイスの片面タブをデコラティブに飾り付けたバッジもユーモアたっぷりです。クロスビーとリーバイスという大物同士の小競り合いが歴史的なアーカイブを生み、ファッションとしてのデニムの奥深さを見せ付ける結果となりました。

当時ではありえなかったデニムタキシードという発想の裏には、このようなストーリーがあったのです。

現代のアメリカでは、デニムでもドレスコードに引っかからずに入れる店がたくさんあります。このような状態を当時の人が見たらさぞ驚いたことでしょう。

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