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趣味side/北欧デザインと共に暮らす

Vol.051/世界でもっとも美しい肘掛け椅子【フィン・ユール・チェア】

Vol.033で有機的なフォルムの椅子を紹介したデンマークデザインの巨匠、フィン・ユール。今回は彼の代表作のひとつである「イージーチェア NV-45」をご紹介します。フィン・ユールの得意とする滑らかなカーブを堪能できるイージーチェア NV-45は、彼のデザイナー人生においてターニングポイントとなった作品だといえるでしょう。。

息を呑むほど美しいアーム

イージーチェア NV-45は、フィン・ユールがヴィルヘルム・ラオリッツェン建築事務所から独立してから初めて手がけた作品です。その最大の特徴は、ため息が漏れるほどの美しいアーム。手作業で丹念に削り出されたアームは、よく見ると肘を掛ける部分だけ少し面積が広くなっているのがわかります。

この作品はフィン・ユールにとって大きな意味をもつものでした。初期の作品ではフレームと座面が一体化していましたが、この作品からはシート部分がフレームから浮いているように見えるデザインになっています。このような設計が椅子のなめらかな曲線をより際立たせ、作品を一層魅力的なものにしているのでしょう。建築家として活躍した、フィン・ユールならではの感性が活きた作品となっているのです。

北欧デザインと共に暮らす

ちなみに、NVとはニールス・ボッダーの略。この椅子は通称45番と呼ばれますが、ニールス・ボッダー以外でもつくられたものがあります。しかし、より価値があるのがニールス・ヴォッダーなので、作品名のスペックにはNVなど工房名を関することが多いのです。

北欧デザインと共に暮らす

魅力的なバックショット

北欧デザインと共に暮らす この作品のもうひとつの魅力が、美しい後姿。背もたれの傾斜や背中の丸み、後ろ足の引き具合など、さまざまな要素が絶妙のバランスで組み合わせられています。こういった有機的なフォルムは、フィン・ユール作品の大きな魅力のひとつといえるでしょう。

フィン・ユールが活躍した1950年代、多くのデザイナーは自ら手を動かし、職人レベルの家具製作技術をもっていました。デンマークではボーエ・モーエンセンやハンス・J・ウェグナーなどがそれにあたります。しかしフィン・ユールはもともと建築家だったため、ニールス・ヴォッダーをはじめとする腕のいい職人たちと手を組んで家具製作を行いました。

そのようなスタンスの違いは、作品にも色濃く表れています。シンプルで形が機能を表すものが多かったボーエ・モーエンセンらの作品とは異なり、フィン・ユールの作品に多く見られるのは、美術の要素。イージーチェア NV-45は、そんな彼の「日常家具の中に美しさを追求する」というスタイルを、はっきりと感じられる作品なのです。


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