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趣味side/北欧デザインと共に暮らす

Vol.047/エーロ・アールニオの椅子 後編【パスティルチェア・トマトチェア】

前編に引き続き、フィンランドのデザイナー、エーロ・アールニオの作品を紹介していきます。後編は彼の得意とするFRP(強化プラスチック)を全面に用いた作品に注目。斬新なデザインと優れた機能性を備えた代表作「パスティルチェア」や、それを進化させた「トマトチェア」がどのようにして生まれたのか、その背景とデザインに迫ります。

水に浮かび、雪の上をすべる「パスティルチェア」

「ボールチェア」と並んでアールニオの代表作といわれているのが「パスティルチェア」。この作品は1968年に、アメリカの工業デザイン賞である「A.I.D賞」を受賞したことでも知られています。パスティルとは錠剤という意味で、トローチの形にヒントを得て、この名前がつけられました。

カラフルな色合いのパスティルチェアは、加工した2枚のFRPを張り合わせて作られたもの。底面に丸みをもたせているので、座ると前後に揺れる感覚を味わうことができます。座った感触はゆったりとしていて心地よく、当時の『The New York Times』誌には「人間の体をもっとも快適に包み込んでくれる椅子」として紹介されました。

北欧デザインと共に暮らす

また、アウトドアで使えるのも大きな特徴。中が空洞になっているので水に浮かべて座ることもできますし、雪の上ではソリのようにすべらせて楽しむこともできます。普通の椅子では考えられないこういった使い方は、丈夫で耐水性のあるFRPを用いたパスティルチェアならではの楽しみ方といえるでしょう。

オブジェのような佇まいの「トマトチェア」

北欧デザインと共に暮らす

デザインも機能性も優れているパスティルチェアですが、ひとつだけ、寄りかかって座ることができないという難点がありました。それを解消したのが、この「トマトチェア」。大きな肘掛けと背もたれがついたおかげで、より安定感のある座り心地を楽しめるようになったのです。

機能面はもちろん、デザインもより斬新で独創的なものに進化しています。その巨大なフォルムは、椅子というよりもまるでオブジェ。宇宙船から飛び出してくる戦闘機を連想させる、近未来的なデザインとなっています。ちなみにトマトチェアという名称は、正面から見たときに英語の「TOMATO」のように左右両側に大きな丸があることからつけられたもの。赤だけでなく、白や緑といったカラーバリエーションも用意されています。

木とはまったく異なる質感や肌触りをもつFRPに、当時のデザイナーたちは「未来」や「21世紀」を感じました。アールニオの作品に近未来を連想させるものが多いのも、彼がそのように感じたからなのでしょう。ちなみに彼が活躍した1960年代は、アポロ計画がスタートした時代。'69年にはアポロ11号が月面着陸を果たし、人々は宇宙に対して強い憧れを抱いていました。こういった時代背景もあって、宇宙を連想させるアールニオの作品は、'60年代を象徴するものとなっているのです。

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