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Vol.029/カイ・フランクが生んだベーシック【飽きのこないテーブルウェア】
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テーブルウェアデザイナーとして数々の名作を遺したカイ・フランクは、1911年にフィンランドで生まれました。ヘルシンキの美術工芸大学で家具デザインを学んだあと、1945年にアラビア社に入り、翌年の1946年には同社のデザイン部門ディレクターに就任。長年にわたって数多くのテーブルウェアをデザインしました。彼の作品はその実直な作風から、フィンランドデザインの良心と呼ばれています。シンプルなものからアートピースまで幅広い作品がありますが、作家個人の名声を得るよりも、あくまで人々が日常に使用するための日用品を作った人物として有名です。ここでは彼の作品のなかでもよく知られている陶器のテーブルウェア「KILTA(キルタ)」と「TEEMA(ティーマ)」シリーズを紹介します。
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■フィンランドの人々の心を捉えたキルタ
カイ・フランクの「人々の日常生活の質の向上」を目的としたデザインというポリシーから誕生したのが「キルタ」と呼ばれるシリーズです。
キルタは1948年にデザインされ、1953年に発表されるとすぐに人気となりました。その理由は、制作する側にとってコストがかからず、使う側にとっても安価であったことに加えて、なおかつ美しいという利点を備えていたからです。さらにすべてがコンパクトに収納できるためムダがないのも人々の心を捉えた魅力のひとつです。しかし1975年、アラビア社の業績不振に伴いキルタシリーズは製造中止になってしまいました。このことがフィンランド国内では社会問題にもなったといいます。
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その後の1981年、キルタを電子レンジでも使えるようにカイ・フランク自身がリデザインを施した「ティーマ」シリーズが発表されました。写真左のオリーブグリーンのティーマは、ガラス製品のデザイナーであるオイバ・トイッカの監修によってさらなる進化を遂げたもの。2005年に発表された新色です。機能を限定しない汎用性のあるデザインはそのままに、陶器素材の成分比率やカラーも変わり、シャープなデザインに生まれ変わっています。ソーサーがプレートとしても使用できる点はキルタから引き継いだ機能のひとつです(写真中央)。
ティーマのアイテムにはキルタと異なるものが多く、同じ用途を目的として生産された作品にも違いが出ています。大量生産を目的として生産されていることは両シリーズとも変わりないものの、時代を経て進化した工場の設備によって、同じ工業製品であってもティーマとキルタとの間に個体差が生じ、それが逆にティーマの個性となり愛される理由でもあります(写真右)。
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現代的で機能の備わったテーブルウェアを生み出してきたカイ・フランク。彼の作品はキルタが発表されてから約60年が過ぎた現在も伝統を引き継ぎながら進化し、人々が生活する上での必需品として愛されています。
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