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趣味side/センスで楽しむデザイン文具

Vol.053/柳宗理の名作椅子【バタフライスツール・シェルチェア】

数々の優れた家具や公共建築を手がけたことで知られるデザイナー、柳宗理。チャールズ・イームズをはじめとする海外の巨匠たちと交流しながら生み出された家具は、モダンながらも和のテイストに溢れています。今回は、彼の代表作である「バタフライスツール」と「シェルチェア」をご紹介します。

日本が世界に誇る名作「バタフライスツール」

センスで楽しむデザイン文具 柳宗理の名を知らなくても、「バタフライスツール」をご存じの方は多いでしょう。1953年から制作に着手し、翌年には天童木工から商品化。'57年には国際美術展「ミラノ・トリエンナーレ」に出品されて金賞を獲得し、さらにその翌年にはニューヨーク近代美術館MoMAのパーマネントコレクションに選定されました。

優雅に舞う蝶を思わせるバタフライスツールは、柳が板材を触っているうちに生まれたといわれています。この椅子を制作するとき、柳は多くのデザイナーがするようにいきなり図面を引くのではなく、材料をいじったり模型を作ったりするところから徐々に形を定めていきました。自身の手を動かしながら試行錯誤を重ねて形成された有機的なフォルムは、机上では生まれ得なかったものなのかもしれません。

軽やかなフォルムの「シェルチェア」

98年に発表された「シェルチェア」は、その名のとおり貝殻をイメージして作られた一脚。シンプルで美しいフォルムをもつこの椅子は、制作を担当した天童木工独自の一体成型技術によって生まれました。

まず注目したいのは、背もたれの腰のあたりにぽっかりと空いた穴。これがあることによって軽やかさが生まれ、作品の印象をより強いものにしています。また、クッションの色づかいも注目したい点。本体には色の濃いサペリ材が使われているのでクッションのグリーンがよく映え、鮮やかな色彩のコントラストを楽しむことができます。

シンプルな構造ですが、軽快なデザインと一体成型ならではの座り心地が楽しめるシェルチェア。柳が後期に生み出した作品のなかでも、ひときわ目立つ一脚といえるでしょう。

センスで楽しむデザイン文具

バタフライスツールとシェルチェアは、どちらも素材に成型合板が使われています。柳はイームズ夫妻とも親交があり、彼らが多用した成型合板に刺激を受け、自らの作品に取り入れたといわれています。ちなみにシェルチェアをデザインしたのは、柳が83歳のとき。図面より先に模型を作る「手から生まれるデザイン」というスタイルを崩さず、長年にわたって活動を続けるところにも、彼のデザインに対する真摯な姿勢をうかがい知ることができるのです。


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