ご利用ガイドお問い合わせサイトマップ  
sideriver.com こだわる大人のための趣味と生活のポータルサイト


伝統工芸というステータスに酔う

日本のみならず、世界中で評価されている日本の漆塗り。
加賀山中塗りが施された道楽製品は、従来の釣り道具という概念から逸脱した美術品のような存在感を誇る。
それは約400年という歴史から生み出されるオーラのようなものかもしれない。由緒正しき日本の伝統工芸に触れる機会などそう多くはないだろう。より質の高い時間を過ごすためには、より質の高い釣り道具を手に入れるということは自然な成り行きなのかもしれない。

取材/トップ堂 撮影/菊池陽一郎 取材協力/有限会社蓬莱園

ステイタスを感じさせてくれる バスタックルが非常に少ない現状


よくモノの価格の問いかけにピンキリ、なんて言葉が使われる。特に趣味の世界、マニアな世界では、モノの値段はピンキリであることが多いように感じる。しかし、それは趣味やマニアの世界だけではなく、ごく一般的な世界でもモノの価格はピンからキリまである。

しかし、不思議なもので、本来価格が安いということは、喜ばしいことなのであるが、買い物というものは、高価なものを購入したときのほうが満足度は高い。結局、高価なものを手に入れたときというのは、一時的には経済的に厳しくなるが、それ以上に満たしてくれ何かがあるのだ。その満たしてくれる何かとは、ステイタスであったり、自己満足であったりすることが多いのではないだろうか。

 たとえば18歳でクルマの免許を取得し、最初に購入するクルマがベンツやポルシェなんて人はほとんどいない。最初はせいぜい数十万円の中古車をローンで手に入れるケースが多いと思う。しかし、年齢を積み重ねていくうちに、ちょっとずついいクルマに乗りたくなる。これもひとつのステイタス。

しかし、バスフィッシングの世界では、そういった歳相応のステイタスを感じさせてくれるものが少なすぎる。20代前半の釣り人であっても、40代後半の釣り人であっても、所有しているタックルの数こそ違えども、使っているタックルは同じなんてことが多々ある。これが同じ釣りでもヘラブナ釣りの世界であれば、1本ウン十万の和竿、1本ウン万円のウキなどと、とても若輩者には手が出せない世界がある。それは性能、機能云々ではなく、最高の職人が手がけた道具で釣りをするという満足感であり、一人前の釣り師としてステイタスだったりする。
 


では、トップウォーターのバス釣りでステイタスを感じるものには、一体どんなものがあるだろう? アンバサダーであったり、グラスロッド(数年前であればフィリプソンなどはステイタスシンボルだった)であったり、チャンピオングリップではないだろうか? しかし、これらのアイテムはステイタスというには、あまりにも身近すぎる。高校生や大学生でも手に入れることができるレベルだからだ。

かろうじて思い当たるのが、アンバサダーのCDLくらいだろうか? というように、 現在のところステイタスを感じさせてくれるレベルのタックルは、ほとんどがオールドであるが、唯一、現行メーカーでアンバサダーのような特別仕様モデルを手がけているが道楽だ。漆や蒔絵、彫金に切子などは、スタンダードモデルとは一線を画するステイタスモデルと呼んでもいいのではないだろうか?

以前、道楽の松本さんと話をしていたとき、このようなことを言っていたことがある。

「いま俺たち世代が使っているタックルというのは、ノスタルジーや。少年時代の憧れをいまでも引きずっているだけ。それは決して悪いことではないけど、良くも悪くも進歩していない。でもな、クルマでも、洋服でも、時計でも何でもそうだと思うんやけど、ある程度年齢を積み重ねた大人だったら、それなりのものを買うやん。でも、釣り道具って、特にバスタックルというのは、そういうのないやん。真の大人が使える道具って少ないやん。だから、漆塗りのルアー作ったり、リールに蒔絵を施してみたりしている。釣り道具としての性能は何も変わらない。けど、せっかくの休みの日くらい、いい時間を過ごしたいやん。性能ばかり求めるんじゃなくて、付加価値のある道具を使って楽しみたいって人もいるはずや」

 


道楽製品は他のブランドの製品よりも高額であることは周知の通りだろう。

しかし、その中でもひと際高額な製品が、蒔絵や漆塗り、彫金を施したモノである。これらの製品を直接手に取って見たことがある人も少なからずいるであろう。そのときどのような印象を持っただろうか?いままでの釣り道具とはまったく違う雰囲気に圧倒されたのではないだろうか?

おそらく伝統工芸などに触れる機会などそう多くはない、もしくはまったくないという人にとっては、釣り道具という域を逸脱した美術品のような美しさに翻弄されたことだろう。それは決して道楽ファンでなくとも、そういった印象を抱いても不思議ではないだろうし、現にその美しさを認めるアンチ道楽ファンもいるほどだ。

たとえば、蒔絵が施されたルアーの桐箱を開けてみる。そんな20cmにも満たないような小さな空間であるが、そこだけ独特の空気感が漂う。それは取材で訪れた加賀山中にある工房と同じ空気が漂っていることに気づかされる。凛として、濁りのない世界観がそこにはある。それが伝統工芸の格式であったり、重みであったりするのかもしれないが、無意識のうちに背筋が伸びてしまうような空気が流れているのだ。

『はじめて会った土居さんは、後光がかかったようなように見えた。自分が随分と汚いもののように感じられ、場違いなところに来てしまった、と後悔した』 これは松本さんがはじめて蓬莱園に足を踏み入れたときの感想を“道楽十年”の中で綴ったものだ。



さて、それでは加賀山中塗りとは、蒔絵とは一体どういうものなのか? 今回、我々を加賀山中の伝統工芸の世界へと導いてくれたのは、有限会社蓬莱園の土居さん。道楽ファンの方々にはおなじみの蒔絵職人である。それでは、この蒔絵というものの歴史的な背景を遡ってみることにしよう。

蒔絵とはその昔は、寺社仏閣の装飾などに始まり、公家や皇族といった権力者たちの住居などの建築物、家具、そして身の周りのものなどを装飾するための発展し、現在に至っているようだ。用途は時代によって異なっていのだが、装飾の技術ということは、いまも昔も変わっていない。その昔に手がけられた蒔絵の数々は美術館、もしくは国や県が指定した歴史的な重要文化財などに、貯蔵品として展示されていることが多く、歴史的な美術品として評価されている。こういった歴史を受け継いでいるからこそ、蒔絵が施された道楽製品に美術品のような美しさを感じるのかもしれない。

ひと口に蒔絵といっても、そのバリエーションは無数にある。道楽製品では昇龍と呼ばれるいかにも男性的な絵柄が印象深く、一歩間違うと下品なイメージを受けかねないが、そういった印象はまったく感じさせない。本来、土居さんが手がけている作品の多くは、茶道などに使われる茶器の装飾。お茶の世界では招く側が、招かれた人をもてなすということが前提にあり、点てたお茶の味もさることながら、その器の美しさが重要視される。見た目の美しさは当然のことながら、季節を感じさせる器であるかなど、お茶の席によって器を変えなければならない奥深い作法がある。とにかく招き入れたお客さんに不快な思いをさせてはいけないのだ。そこは蒔絵職人の腕の見せどころでもある。そういった視点からモノ作りをすることができる土居さんだからこそ、茶器が釣り具に変わり、対象が釣り人に変わったとしてもったとしても、一瞬で目を奪い、心を鷲掴みにしてしまう作品を作り出すことができるのだろう。

約400年と言われている加賀山中塗りの伝統。それは従来の釣り道具にはない魅力を放ち、決して世界でも類を見ないオリジナリティであることは間違いない。そして、日本の漆塗りは海外でも高い評価を受け、欧米では漆のことをジャパンと言う。要するに加賀山中塗りが施された釣り道具には、世界で認められるステイタスが秘められているということだ。




おすすめ商品
道楽 アナゴイヌ(加賀山中漆) 道楽 MATSUMOTOY A-2000 Slim (パープル) 右用ベイトリール、ボールベアリング仕様 道楽 SWEET STICK 1L−156 (トリコロール) トップウォータースタイル Vol.2
道楽 アナゴイヌ(加賀山中漆)
「漆」を贅沢に纏った、道楽と加賀山中塗りとのコラボレーションルアー
道楽 MATSUMOTOY A-2000 Slim (パープル) 右用ベイトリール、ボールベアリング仕様
パーミングのしやすさを考えてスプールの幅を短くしたモデル。糸巻量にもボディ剛性においてもノーマルモデルと変わりはありません。
道楽 SWEET STICK 1L−156 (トリコロール)
30年以上前の有名なロッドを再生産。当時の熱意が伝わってくるほど素晴らしいブランクであったため、道楽でトップ用にガイド位置などを修正し再びこの世によみがえらせました。
トップウォータースタイル Vol.2
限られた時間は贅沢に楽しむ
釣り最新刊の紹介
BASS WORLD
10月号
700円(税込)
SALT WORLD
Vol.71
980円(税込)
トップ堂 No.38
630円(税込)
シイラゲームをマスターする本
924円(税込)
ページトップへ