 |

豊富な“染色技法”による、カラーリングの妙
|
'90年代の中頃まで、日本人は皮革製品に対して、均一な工業製品的美しさを要求してきた。それは、長年使い込んでも色や風合いに変化のない、無機質でプラスティックのようなものだった。ごく一部のレザーマニアを除いて、一般的には「良い革」=均一で表情に変化のないものとされていたのだ。当時の人々に、今あるような味わい深いレザーを与えたなら、それはおそらくクレームの対象になっているはずだ。
それがここ最近になってようやく天然素材である革本来の、味わいや個性を楽しむ、という傾向へシフトしてきた。それは最近のレザーアイテムの、色づけにも垣間見ることができる。
色づけは、顔料系と染料系に大別される。顔料とは革の上から色を載せ、雨や傷から革を守り、風合いを維持する方法だ。一方、最近好まれる染料系の色づけは、革の繊維に直接染料を染み込ませる方法で、顔料で色づけされた革に比べ、雨や傷によるダメージを受けやすいが、銀面層がもっている透明感や細かい表情をダイレクトに楽しむことができ、使い込むことによって独特のムラやシワを生み、自分だけの革に育て上げることができるのだ。染色の技法も各ブランドやタンナーが試行錯誤し、藍染めや柿渋染めなど、日本の伝統的な染めをレザーに落とし込むことで、まったく新しいモノへと昇華させている。
|
|
|