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あの人のお気に入り

柳本浩市さん(グリフ代表)

『あの人のお気に入り』
第1回:柳本浩市さん(グリフ代表)

デザインにゆかりのある方々に、ご自身の”愛用品=お気に入り”をお聞きするインタビュー的コンテンツなこのコーナー。栄えある第1回はデザイン全般に造詣の深いクリエイティブレーベル「グリフ」の代表である柳本浩市さんの、とくにドイツ系デザインの”お気に入り”についてご紹介。

profile
柳本浩市(やなぎもと・こういち)
クリエイティブレーベル「グリフ」の代表を務める。その活躍は幅広く、商品開発からデザイン系企画展のプロデュース、デザインを中心にした出版などを手がけている。


今から10年以上前のことである。ヴェルナー・パントンに興味を持ち、パントンの家具を収集しはじめるのだが、当時の日本では手に入れられるものが少なかった。それならと、ついにスイスにいるパントンのもとへ直接買い付けにいった男がいた。その伝説の男が柳本浩市さん。こんな逸話があるくらいだから、時にコレクターと間違われることがあるが、実態は展覧会の企画や出版などひとつの肩書きではおさまらない、幅広い分野で活躍する人物である。
「あるデザイナーに興味を持つと徹底的に調べるんです。ものを集めるのはその一環で、資料や文献だけでは、頭でっかちになってしまう。実際につくったものを見て触って、そのデザイナーになりきって、なぜそうしたデザインが生まれたのかを考証する。そして自分なりの解釈が生まれたら、放出してしまうんです。だからコレクターではない(笑)
ローゼンタール
写真1:北欧の巨匠、タピオ・ウィルカラがデザインし、妻のウルト・ビョークが絵付けをしたローゼンタール100周年限定モデル
ポルシェデザイン
写真2:柳本さんご自宅のコンロにはポルシェデザインの圧力鍋も
そんな柳本さんが北欧の巨匠、タピオ・ウィルカラになりきって集めたのがローゼンタール社の「センチュリー」(写真1)。1970年代のものだが、現代を感じさせるデザインを気に入り、今でも手元に残る作品である。もう1つはブラウン。10年前には資料を含め1000点近くブラウン製品を所有していたという。
では、柳本さんが考えるドイツデザインの特徴とは何なのか?
「敢えて言わせていただくと、ケチな国民性が生んだデザインだと思います。よくいえば質実剛健ですが、その言葉でははっきりとイメージできないでしょ。でもケチといえば直感的にその本質をとらえることができます。ケチだから長持ちするものが求められ、丈夫なものができた。丈夫で長持ちするから飽きのこないデザインが生まれたわけです」


おもしろいのが、ドイツはアートに対して寛容な国。ケチとアートは相反するものだが、それが共存するのもドイツの特徴である。
ところでグリフの活動テーマとは「観念の崩壊」だという。突然難しい言葉だが、簡単にいえばこれまで当たり前に思っていたことを、壊してみようという考え方。
近年、グリフはエアラインの本を出版し高い評価を受けている。これまで飛行機オタクの世界でしかなかったものを、グラフィックに注目して、ファッション的に見せたのがその成功の要因であった。その他各種活動から北欧ブームや、ファブリックブームなどの流行も生み出している。今後もグリフの活動に注目したい。

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