真・日本偉産
真・日本偉産/第19回・北海道(後編)・道人たちと北海道 其の弐

第19回・北海道(後編)・道人たちと北海道 其の弐

 
「アンチ夏の北海道」的な考えを持っていた俺だったが道人達の素晴らしいエスコートで、ひねくれた考え方が一変、興奮と歓喜に溢れた初日を終え、最終日である2日目に突入

※本記事は、バイクを愉しむ雑誌「BikeJIN(培倶人)・2008年9月号/Vol.67」に掲載されたものです。

宿のコトなんて気にしない、北海道ならそれでイイノダ

 
人生初のバイクで走る北海道。前回で書いた通り、札幌のCYCLONEさんでバイクを借りた上に、ソコのお客さん『道人(北海道の人)』達に案内をして貰って旅を満喫中のノープランな俺。バイクで走る北海道は、車や公共交通で感じたソレとは全く違う。五感で感じる事柄のすべてが「キャッホー!!」と叫びたくなる程『雄大で壮大』、まさにライダーパラダイスな場所ナノダ。

前回の最後に第二次合流部隊のバビューンとアキラが増えた俺達6人は、迫り来る夕方に向けて行動を開始した……かと言うとそうでもない。合流した道人達はみんなで世間話を始めたノダ。みんなニコニコと話し続ける、夕暮れは迫る。流石の俺も少々心配になって来たノデ、昨日から一緒に走っているタイガー&ダーティ★&キヨシに「今日の宿はどうする?」と聞いてみた。すると、「そうですね、じゃソロソロ探しますか」とコトも無げダ。大丈夫なんだろうか? と心配していたのもつかの間、宿探しに出たタイガーが10分程で戻って来て「素泊まり温泉付きで1人1500円でどう?」とニコニコ訊いて来るではないか。驚いていると、道人達は口々に「北海道では大体こんなモンですよ」と笑い合っているではないか。いやぁ全くスゴイね北海道。今夜は、糠平温泉の老舗旅館の広間で雑魚寝ダ。

真・日本偉産/第19回・北海道(後編)・道人たちと北海道 其の弐

上士幌 タウシュベツ川橋梁/自然の息吹が生む芸術作品、地元民すらも溜息の美しさ

 
真・日本偉産/第19回・北海道(後編)・道人たちと北海道 其の弐 1500円の宿とは言えグッスリ快眠。朝飯前に、ダーティ★推薦の『タウシュベツ川橋梁』を見にタイガーと3人で出かけた「朝は特に野生動物が多いノデ気を付けて」と注意を受けて走り出す。

国道を10分も走ったトコからダートに入る。ココもフラットな砂利道で走りやすい。ダートを10分程走ったトコロの駐車スペースにバイクを停めてソコから徒歩3分、白樺の森が急に開けて糠平湖が現れる。ソコに架かるアーチ橋が『北海道遺産』にも選ばれている『タウシュベツ川橋梁』ダ。

糠平湖の水位が低い時にのみ現れるソノ姿は、長年に及ぶ湖水による水蝕でコンクリートが剥がれ落ちて、あたかも芸術作品のような趣きがある。素晴らしい体験をしても腹は減る、そろそろ朝飯を食いに戻ろうとすると、樹々の中で何かが動いた。「鹿ダ!!」と声を上げたくなる気持ちを抑えて暫し観察。俺の様子を見てタイガーもダーティ★も息をひそめてくれる。勢いを増した緑の中に居る野生動物は此れ程までも美しいのかと感動していると、俺達の気配を察して鹿は森の奥に消えて行った。
「やっぱイイねぇ北海道」

糠平 ビストロふうか/優しい時間と旨い料理、糠平の風薫る名店は必食

 
最高の気分で宿に戻り、隣りの『ビストロふうか』で朝飯。洒落た店で少々不安があったが、メニューを見て一安心。繊細なメニューからガッツリ系のモノ迄、様々なニーズに応えられるようにラインナップされている。お仕着せでは無い優しさを感じられる御主人夫妻の作るメニューは、糠平に流れる空気感や、ゆったりとした時の移り変わりマデも味わうコトが出来る。

食事を終え勘定をしていた時に俺はソレを見付けてしまった「エゾ鹿の缶詰ぇ~!!」。そんな俺を見て店の御主人がニコニコしながら「お隣の湯元館の御主人が獲ったモノですよ」とサラリ。近頃増え過ぎているエゾ鹿は見るダケじゃなく、味覚でも俺達を楽しませてくれているらしいね。

真・日本偉産/第19回・北海道(後編)・道人たちと北海道 其の弐

糠平 湯元館/ライダーへの対応万全、旅の疲れは名湯で回復

 
真・日本偉産/第19回・北海道(後編)・道人たちと北海道 其の弐 食事を終え、再び宿に戻って温泉に浸かる。朝のキリッとした空気の中で入る温泉は最高の贅沢ダ。そして、こんな贅沢が1泊1500円、まったく驚く。

朝風呂を終え荷物をまとめていると、外が何やら騒がしい。出てみると、ダーティ★が「これで全員揃いましたね」と笑っている。見回してみると、初めて見る顔が更に3人増えているではないか!
R1200GSの『親分』、HP2エンデューロの『まるぅ』、R1200RTの『ナオ』の3道人達ダ。最初は3人で走り出したのに今では8人(キヨシは朝仕事に出かけ欠席)の大所帯となったノダ(笑)。道人達の付き合いの良さはスゴイ。「では今日も楽しくニコニコ安全にいきましょう」と走り出した。

上士幌 ナイタイ高原牧場/広大な牧草地で牛馬はアリ、ツリーハウスに中年興奮す

 
俺達一行がやって来たのはナイタイ高原牧場。名前ダケを聞くと、何やらムフフな情報一杯の牧場のようダガ、ココで言う「ナイタイ」とはアイヌ語で「奥の深い沢」と言う意味。そして、ココの牧場は日本一の広さを誇る(1700ha東京ドーム362個分)大牧場。
ソノ広さを表現するとしたら、牧草地で草を食む数千等居る牛馬が、まるでアリのような小ささというか、そもそも多数居ても全くひしめき合ってる感を感じ無い、と言ったら少しは分かって貰えるだろうか?

そんな牧場内には、某インスタントコーヒーのCMに出て来た『ツリーハウス』が在る。広い牧草地に立つ柏の巨木に設えられたソレには登るコトも触れるコトも出来ないが、少年の頃に憧れた『僕らの秘密基地』の高級版は一見の価値がアル。それを見た昔の少年少女は、子供に戻ってソフトクリームで乾杯したノダ。


俺達8人は果てしなく広い北海道の道を走っていた。すると、先頭を行くダーティ★のウインカーが点滅、路側帯に寄って停車。それに従って後続も一様にバイクを停める。ダーティ★が振り向いて「こんなトコでいいですか?」と訊いてくる。俺の目の前には、上下に大きくうねる真っ直ぐな道が伸びている。「そう、コレコレ!」と俺は応えた。ココに来たのは本来の行程とは全く関係ない。
先のナイタイ高原牧場で「北海道って直線道路のイメージがあるケド、そんなに直線じゃないヨネ」と、口にしたのが始まり。「じゃあ直線行きますか?」とダーティ★が言ってくれたノダ。追加注文として、何かの本で見たジェットコースターのように上下にうねった直線もリクエストした。
やって来て思ったのは、見た目よりも起伏が大きくジェットコースターのようでは無いと言うコトト、北海道は広いノデ、地域によって道のレイアウトが大きく異なると言うコト。直線が好きなら平野部に行けば最長30㎞近い道や、それに準ずる道が無数に在り、そしてやっぱり直線ばっかは飽きるネ(勝手)。

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帯広 愛国駅→幸福駅/あのブーム商品をいま買えた、みんなが欲しがるお土産ダ!

 
真・日本偉産/第19回・北海道(後編)・道人たちと北海道 其の弐 帯広市内をスルーしてやって来たのは愛国駅。言わずと知れた愛国~幸福駅の切符を発券していた駅でアル。73年にテレビで取り上げられたコトをキッカケに、件の乗車券の一大ブームが巻き起こった。73年には7枚しか売れなかったソノ切符が74年には3000万枚、以降4年間で1000万枚も売れたと言うからスゴイ。御多分に漏れず俺も欲しかったが買えずにいたノデ、初北海道の記念にどうしても欲しかったノダ。

やって来てみると愛国駅は無人のSL展示場と化していたノデ幸福駅に移動。コチラは大きな駐車場もあって、ザ・観光地な風情ダガ、駅舎は愛国駅よりも風情があってイイ。鉄道は87年に廃線になってしまったが、土産物屋でレプリカ切符を2枚ゲットした。

切符ゲットで気分も上々、天気も良くて気温もグングン上がって汗ばむ程だった、だったんだよ。しかし、有名な黄金道路(工事費がかかり過ぎてのネーミング)に入った途端に海からの風が冷た過ぎて震えた。帯広辺りは28℃程あったのに、ココでは12℃ってどういうコト?! おまけに海からの風で巻き上がった越潮まで飛んで来て、泣きっ面に蜂状態。だが、ココを走ると、コノ道を造るのに多額の費用がかかったのも頷けるし、大変な作業だったのだろうなぁと、しみじみ当時の人達の苦闘に思いを馳せるコトが出来る。思いを馳せるコトは出来てもコノ気温の差はいかんともし難い。ココを走る時には注意が必要カモダゾ。

えりも 襟裳岬/吹きすさぶ風がよく似合う9人のライダー襟裳に立つ

 
黄金道路から更に南下して行くと気温が上って来たと思ったら今度は強風ダ。百人浜から襟裳岬にかけては風速10m以上の風が年間290日以上吹く強風エリア。風速10mと言ったら、高速道路なんかでよく見る『吹き流し』が真横を向くぐらいの風ナノダ。風の吹きすさぶ海沿いのワインディングを走っていると小さな漁師町然とした場所が見えて来た、ソコこそが旅の終点『襟裳岬』ダ。

悲しみを暖炉で燃やし終わっているであろう襟裳岬は、春で無くなりつつあるにもかかわらず何もない。ただ風が轟々と吹いていて、岬に住んでいる筈のゼニガタアザラシも見えない。しかし、俺はココ迄来たノダと言う充実感だけは強烈にある。前回の苫小牧で落陽を歌ったようにココ襟裳岬では、森進一Ver.では無く吉田拓郎Ver.で襟裳岬を歌ってみた。感慨深い、北海道はやっぱりフォークソングダ。

真・日本偉産/第19回・北海道(後編)・道人たちと北海道 其の弐

結果、いつか北海道なら、いま北海道なのカモよ

 
「俺はココ迄やって来た」と襟裳岬の駐車場に戻って来て再び想う。バイクに乗り始めて20年余、変な意地を張って走ったコトの無かった北海道は、素敵な道人達のサポート&ガイドで最高級の感動を俺に与えてくれた。CYCLONEの本間社長をはじめ、ダーティ★、タイガー、キヨシ、アキラ、バビューン(以上前回から)、親分(久木博光さん)、まるぅ(薄利英さん)、ナオ(伊藤尚文さん)、襟裳岬から空港迄の案内役を買って出てくれたK1200Sの永嶋孝光君、みんなのお陰で俺は今最高の気分です。

そんな感動に浸りながら、今回の北海道行を振り返ってみた。摩周湖かっ! と勘違いした霧の支笏湖。最高の新鮮北寄貝で絶品の味を供する、旅人に優しいマルトマ食堂。野生(ノラ?)のキタキツネが迎えてくれた三段滝。山人達との交流も深まる温泉自炊宿の白銀荘。いい加減に見えて良い加減の、道人達が作った北海豪快ツーリング鍋。複雑な青い色合いが印象的な白髭の滝。ケンメリのCMで映っていたケンとメリーの木。快走フラットダート&渡河の先に在る極楽野天風呂の岩間の湯(以上先月号記載)。人工物を自然がアートにしたタウシュベツ川橋梁。地域の空気感マデ味わえるビストロ ふうか。御亭主もライダー、糠平温泉最古の名湯、ライダーに優しい名旅館の湯元館。その広さ日本一と謳うナイタイ高原牧場。嗚呼懐かしの愛国~幸福駅。気温差注意の黄金道路。何も無いが風はある襟裳岬。

他にも沢山あるが書きあげればキリが無い。しかし、今回の旅で痛烈に思ったコトがある。道人達の開けっぴろげで大らか、大胆で繊細な気持ちが無ければ今回のような「最高っ!」な旅にはならなかった。今回の真・日本偉産は、道人達の人を思いやる心をソレとさせて貰うコトとする。
さて、最終目的地には着いたがマダマダ走り足りない。次はドコに……と思っていたら、道人達一同から空港に向かわないと間に合いませんよ! と怒られた。いやだぁ~まだ帰りたくないよぉ~!

広過ぎだし見所だらけで困るゼ北海道ってコトは何処を切ってもイイ筈だよネ
糠平温泉から糠平湖方面に国道を戻り、丸山橋北側から林道でタウシュベツ川橋梁。湯元館とビストロふうかは糠平温泉街内に隣接して建っている。ナイタイ高原牧場はR273の上士幌町役場から北西へ。R273からR231と繋いで、R236交差点を過ぎてすぐに愛国駅看板あり、そのまま進んで幸福駅。更に海まで進んで南下すれば襟裳岬

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