シェア ザ トレイル



シェア ザ トレイル MTBは遊び。だからこそ周りと折り合いをつけないと

日本と海外のトレイルで“違うところ”って何?

バイシクルクラブ
(以下BC)
まずは、日本のトレイルと比較した、海外のトレイルの状況を教えてください。

大竹雅一さん
(以下O)
アメリカのトレイルはMTBライダーが作っているんだよね。だから、トレイルが荒れないように配慮されていると思うんだ。
つまり、尾根から真っすぐ降りるようなルートだと急勾配すぎてブレーキによるギャップができる。でも、あちらは緩やかに下ったり時には少し上ったりするルートにしているね。
できるだけ斜度を付けないようにしてる。日本も海外のようなMTBライダーが作った自転車道=トレイル≠ノしていきたいよね。

BC
そもそも日本には、MTBが大手を振って走れるトレイルはないと思いますが……つまり、日本の山には地主さんがいて、まあ言うなれば「すみません、ココ通らせてもらってます」な感じで走っていると思うんです。大竹さんは地元・秦野のトレイルでは普通に走れていますか?

O
トレイルを走る場合、「何々さんの土地を通り、次に何々さんの……」って、正確に言うと複数の地主さんの土地を走ることになるけど、実はそこの山を仕切っている人がいる。
秦野では森林組合のオジさんたちだった。
地元の人たちは、昔からそこの山で作業し、そこの山で獲れたものを食してきたんだ。だからそのオジさんたちが「いいよ!」って言ったら、その後はそんなに問題ないと思うんだよね。

BC
そのオジさんたちを探して話をしに行ったんですか?

O
いや。勝手にジャンプ台とか作っちゃってたらオジさんたちに見つかって怒られて、始末書書いたりして……。で、結局それはなくなっちゃった。
それで一度は「ごめんなさいっ!」って謝って、その後「私たちは無法者ではありません。
何かみなさんのお手伝いをさせてくださいっ!」って言いに行ったの。
じつは山をMTBで走りたいんだ、ってことは隠して……。

BC
で、何をしたんですか?

O
ある日「自治会で川沿いの木を切り倒すことに決まった」ってオジさんが言うもんだから、「ハイッ! 私がやります!」って、芝刈り機とかチェーンソーとか持って、ガンガン働いたの。
オジさんたちも若くないし、今の若者は自治会なんかに入らない。
だから働き手が不足しているんだよね。自治会って、町内美化とか山の手入れとか、それこそ肉体労働系の行事がたくさんあるわけ。夏なんかは1ヶ月に2回くらいは草刈りとかあるしね。
最初は「おまえら来なくていいよ」とか言ってたんだよ、機械を使うから危ないし、そもそも部外者だし。
それでも「ハイハイッ! 行きます!」って言いながら行ってると、そのうち「自転車のヤツらは一番よく働くなぁ……」って言って打ち解けてくれるようになったの。
だって、オレたち自転車乗りは体力あるんだよなー。


山で登山者に出会ったときどんな行動をとってますか?

山の手入れを行う風景  
BC
登山者と出会うこともあると思いますが、大竹さんの周りではどんなエチケットなんですか?

O
まず、この辺は自転車が多いから、彼らは自転車を見てもまず驚かない。
で、出会うときって、上りならこっちはゼエゼエしながらペダルを漕いでいるか、自転車を押しているときだよね。
だから、上りはとくに問題はないと思うんだけど、問題は下り!
下り中に登山者を見たら、必ず手前で自転車を降りて、登山者を待つことにしてる。しかも、かなり手前≠ゥらね。寸前まで行って止まるとビックリされる。
登山者ってだいたい地面を 見てるでしょ?
顔を上げると急に目の前にくる感じがするんだね。
だから、登山者が気づいたときにはすでに自転 車から降りて止まってる……
ぐらいじゃないとダメなんだなぁと。

BC
音の出るものをつけるとか?

O
あまり音のデカイものだと、なんか威嚇してるみたいに感じることもあるみたい。
クマよけとかより普通の小さな鈴でイイんじゃないかな?

BC
「何でココを自転車が走っているんだ!」とかはないんですか?

O
昔はあったよ。でも今は結構MTBが走っているという現実もあるだろうけど、そういうルールも受け継がれているから、あまり聞かないね。



日本のMTBスタイルって地域の中の遊びなんだ

BC
ルール……そういったものはどうやって浸透するんでしょう?

O
ショップを核としたMTBのクラブがあるんだけど、そういったものがあれば理念≠ェ末端まで伝わりやす くなるんじゃないかな?
もともと自転車遊びってルールがないじゃない? でも、MTBを楽しもうとするなら、その地域の人たちとルールをもってやっていかないと。

BC
作業に参加したり?

O
そうそう。「山で遊ぶ≠チてこういうことなんだ……」と。田植えとか農業研修をやってみると結構楽しいよ。
海外と違って、日本のトレイルにはこまごまと持ち主がいるし、日本のマウンテンバイキングは地域密着型≠ニいう独自の路線を歩むべきなのかもしれない。
まあ、秦野の場合は全国に4箇所くらいある里地里山保全再生 モデル事業≠フ実施地域に選ばれていて、「みんなで里地里山を保全していこう!」って考えがあるから、体力のあるマウンテンバイカーが受け入れられやすかったのかもしれないけど。
自然や地域の人、山を使ういろんな人との共存の中で、自分だけ好き勝手にルール無視で走り回るわけにはいか ないと思う。
だって、こんなに楽しい遊びは、みんなに認めてほしいし、他の人にも味わってほしいよね!



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