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自然の驚異と日頃の不摂生に袋叩きされたぜ
今思えば、本当に魔が差したとしか思えない。4月某日の編集会議で「誰か“佐渡”行かね?」という今坂編集長の問いかけに、「行きます!」と僕が答えてしまったのです……。
この「スポニチ2007佐渡ロングライド210」というイベント、5月20日に開催されたのですが(リポートはバイシクルクラブ2007年7月号116ページ参照)、その前日午前1時まで別のムック作りに追われていた僕は、もちろん練習する時間もなく、装備のチェックも怠りがち。これまでにないほどバタバタ状態で参加するハメになったのです。頼みの綱は、我がロンタム号であるタイレルRSのポテンシャルのみ。距離210kmを走って佐渡島を一周するコースにエントリーしたのですが、思い起こせば、そんな距離を1日で走ったのは、15年前に一度あるだけでした。
さて、イベント当日は午前3時半起き!スタートが午前6時と早いため、もろもろの準備と移動を考えるとこうなったのです。やや眠いものの、体調は良好。しかし、天候は渋く、小雨ぱらつく状態。しかも寒い。スタート地点に集まった参加者たちを見回すと、大半がロングスリーブのジャージにウインドブレーカーを重ね着し、下もレッグウォーマーを着用しています。聞くところによると、昨年も天候がイマイチで、その寒さを経験した参加者たちは、念には念を入れてロングライドの装備を整えているとのこと。
ところが僕は、東京の暖かさと自称晴れ男であることに油断し、ウインドブレーカーを持たず、短いレーパンで、きちまった。後悔先に立たず。しかも、アイウエアとサイクルコンピュータを忘れるというていたらく。スタート前から不安で心は一杯。家に帰りたくなりました。ふと見ると、あの「サイクルスポーツ」編集長I氏とM氏が準備に余念ないご様子。ライバル誌のお歴々を前に、僕だけ無残な走りをしてしまいそうで、いっそう家に帰りたくなりました。
午前6時、予定どおりにイベントはスタート。しかし、走り出しても僕の体は温まらない!寒い、海水が混じったような小雨が眼に痛い、向かい風が辛いと三重苦。佐渡島の北端に着くまでの距離70kmは、身も心も真っ暗。永遠にこの苦しさが続くくらいなら、すべてを捨ててリタイアして家に帰ろう、仕事なんてどうだっていい、たとえツマは冷たかろうと温かい家が恋しい、もう止まろう……と、何十回となく頭の中で繰り返しました。あげく睡魔まで襲ってくる。今思い返しても、前半は本当に辛く愚痴が止まりません。
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それでも時が経つほど確実に前には進んでいて、僕の気持ちに関わりなくタイレルは快調。非力な脚力を効率よく推進力に変えてくれます。アンブロッシオのリムとベロフレックスのチューブラータイヤは滑らかな走行感を演出してくれ、疲労から僕を救ってくれます。そして、20〜30kmおきごとに設けられたエイドステーションが、致命的な疲労から守ってくれるのです。そこでふるまわれたソバやイカタコ飯、そしてスポーツドリンクで消費カロリーの補給は十分。「がんばってくださいね!」と声をかけてくれるボランティアの方々のホスピタリティが走る意欲を回復させてくれるのです。
コースは佐渡島西岸から、右回りにグルッと一周する設定。島の北部をグルッと周り、東岸の” クビレ“を走破し、南部の荒々しい海岸風景に差しかかるころになると、走行距離は150kmを越えてくる。時間がたつほど徐々に気温も高くなり、減っているはずの体力が逆に回復するかのようなイイ気分になってくる。180km地点前後にある、標高差100〜150mほどの連続ヒルクライムをどうにか走りきり、そろそろ痛み出した右ヒザをかばいつつも、心の中に「完走」という文字が浮かびだす。もしかしたら、制限時間の午後6時までにゴールできるかも、と希望が生まれてくる。
結局、午後5時過ぎにゴールインできました。薄い夕陽が差す中、思わずバンザイしてしまう。完走したことはもちろん、両手離ししてコケなかったことも奇跡だ。
完走の記念バッチをもらう列に並んでいると、なにかの取材でコメントを求められた。「また走りますか?」と聞かれ、内心「走るわけネェだろ!」と思いつつ、「カラダきたえてから、また走りたいです!」と大人のコメント。すると、なんだか本当にまた走りたくなってきた。自転車って、辛さはスグ忘れ、充実感が強く残るんですね。なにはともあれ、愛機タイレルが今まで以上に誇らしく思えてきました。
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